【飲酒運転・罰則の強化関係】
Q 改正道路交通法の主な改正点は?
A 平成19年6月に成立・公布された改正道路交通法では、飲酒運転をした者に対する罰則の強化と併せて、飲酒運転に関わる周辺者に対する罰則の新設・強化、高齢運転者の安全対策、自転車の安全対策、安全運転管理者制度の対象の拡大、聴覚障害者の運転免許取得要件などについて改正されたんだよ。
Q この法律はもう施行されたの?
A 飲酒運転の罰則の引き上げなど一部についてはすでに施行されたけど、準備の関係等もあり3回に分けて施行されることになっているんだ。
Q 飲酒運転に関して罰則等が強化されたということだがどう変わったの?
A 飲酒運転に対する厳しい世論の情勢をふまえ、飲酒運転をした者に対する罰則の引き上げ、飲酒や過労運転等を下命容認した自動車の使用者に対する罰則の引き上げ、その他飲酒運転に関する周辺者対策としての罰則の引き上げや罰則の新設などが行われたんだよ。。
Q 飲酒運転に関わる周辺者対策ってどういうこと・・?
A 飲酒運転をした運転者に対する制裁を強化し、その抑止を図ることももちろん必要だけど、一方で運転者の周辺で飲酒運転を助長し、容認している者がいることも飲酒運転が根絶されない背景の一つになっているんだよ。
そこで、運転者はもちろん、その周辺で飲酒運転を助長する行為や酒運転を幇助する行為の中でも特に悪質であると評価できる、「飲酒した運転者に車両等を提供した者」、「酒類を提供した者」、「要求・依頼して同乗した者」について禁止規定を設け又は罰則を強化することにしたんだよ。
Q 「車両等の提供」って?
A 飲酒している人が運転することを知りながら自分の車を貸し出すことをいうんだよ。この罰則は、車の提供を受けた者が酒酔い運転をした場合には「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」に、「酒気帯び運転をした場合には3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」になるんだよ。
Q ではどのような行為が酒類提供罪の対象になるの?
A 酒類提供罪は、飲酒運転をすることとなるおそれがある者に対して酒類を提供する行為を違反の対象としているんだよ。
例えば、飲食店の店主が、車で来店した常連客がこれまで度々飲酒後に車を運転して帰っていることを知っていながら、その注文に応じて酒類を提供した場合とか、自宅に車で訪れた友人に対し、その友人がその後車を運転して帰ることが予想されたのに自宅にある酒類を提供した場合、コンビニや酒類販売店が車で来店した常連客がこれまで度々購入した酒類を駐車場等で飲んで飲酒運転して帰ることを知っていながら販売したような場合などが考えられるよね。
Q 飲み会の際に同席した知人が車できているとわかっていながら、宴会の場でお酌をしたような場合にも違反になるの?
A 酒類の「提供」とは、自己が事実上支配している酒類を相手方が飲酒できる状態にすることであり、例えば、宴席で既に出されていた自分の目の前の酒類をお酌してあげたというような場合には酒類の「提供」にはあたらないと解されているようだよ。
Q 「酒類の提供」の場合の罰則はどのくらい?
A 飲酒運転をすることとなるおそれがある人に対して酒類を提供する行為の罰則は、その人が運転した結果、酒酔いになるか、酒気帯びになるかによって変わるんだ。結果としてその運転者が酒酔い運転をした場合には「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」、酒気帯び運転をした場合に「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」になるんだよ。
Q 「要求・依頼して同乗した者」って?
A 車両の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、その運転者に対して車を運転して自分を同乗させてくれるように要求したり、依頼をして同乗した人のことをいうことだよ。
罰則は、この同乗した者が運転者が酒酔い運転の状態であることを認識して同乗している場合で、結果として「運転者が酒酔い運転であった場合には3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に、「酒気帯び運転になった場合には2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」とされたんだ(トロリーバス、運送事業に供している自動車、運転代行業に供している自動者を除く)。
Q 麻薬等運転や過労運転等の法定刑も引き上げられたんだって・・・?
A 麻薬等運転や過労運転等については、交通事故として把握されている件数は少ないものの、その行為そのものは極めて悪質・危険なんだよね。
従来から、麻薬等運転については、道路交通に与える危険性は酒酔い運転と同等と、また過労運転等についても酒気帯び運転と同等と評価されていたんだね。そこで、今回も酒酔い運転や酒気帯び運転の罰則が引き上げられることに伴い、それぞれ同様に引上げられたんだよ。
Q 飲酒運転に関する罰則が引き上げられたけど、行政処分の点数も引き上げられるの?
A 飲酒運転に関する個別の違反種別ごとの付加点数を引き上げる予定はないが、危険運転致死傷罪に当たる行為や酒酔い運転で免許を取り消された者の行政処分の欠格期間の上限をこれまでの5年から10年に延長することにしているんだって。
Q それはいつからなの?
A 都道府県警察における所要のシステムの整備に要する期間等を考慮して、公布から2年以内(平成21年6月19日まで)に施行する予定で作業を進めているそうだよ。
Q 車両の提供や酒類の提供行為についても行政処分の対象なの?
A 道路交通法では、飲酒運転等の重大な違反行為を運転者にさせたり、運転者が道路交通法等に違反して運転するのを手助けした人が運転免許を持っている場合には、その人に運転免許の停止の行政処分ができることになっているんだよ。この場合個別に点数が付加されるのではなくて、危険性帯有による点数によらない行政処分として90日以内の免許の停止処分が行われるんだ。
Q 点数は引かれないけど行政処分は受けると言うことなんだ。
A 行政処分は将来における危険を防止するため必要により行う行政上の処分なので、違反を命じたり、違反することを容易にさせたりする行為をする人の場合には運転者としては不適切な行為であり将来の危険を排除するために公安委員会は行政処分を行うことになるんだね。
点数は付加されないけど、行政処分歴1回として計算されるんだよ。もちろん行政処分中に運転した場合には無免許運転になるし、その処分期間が終了した後に違反した場合には行政処分の前歴のある者の基準によって次の行政処分が行われることに結構厳しい処分だと思うよ。
Q 「飲酒検知拒否罪」の罰則も引き上げられたようだけど・・
A 飲酒取締りを強化しても、飲酒検知を拒否した者に対する罰則が軽いと飲酒検知を拒否する人が多くなるんだって。
そこで、飲酒検知を拒否した人に対する罰則を引き上げて、呼気検査の実効性を担保することにしたんだよ。ちなみに飲酒検知拒否罪の罰則は「3ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金」だよ。
Q ひき逃げの罰則も引き上げられたんだよね?
A ひき逃げというのは、道路交通法上は「救護義務違反」となるんだ。自動車運転者が交通事故を発生させ、人の死傷が発生したいわゆる「人身事故」の場合に、死傷者を救護しなかった場合(いわゆる「ひき逃げ」)の罰則は「10年以下の懲役又は100万円以下の罰金」に引き上げられたんだよ。
Q 安全運転管理者に関する規定も改正されたと聞いたけど?
A 安全運転管理者や副安全運転管理者となるための要件にある欠格事由に、飲酒に関する事項が加えられたんだ。
具体的には欠格事由の中に、「酒気帯び運転並びに飲酒運転に関し車両を提供する行為、酒類を提供するする行為及び依頼・要求して同乗する行為に係る罪を犯した者」という規定が追加されたんだ。
企業等で安全運転管理を行おうという者が、飲酒運転や飲酒運転等を下命容認したり、車両の提供などの飲酒運転を助長する行為を行ったことがあるというのはやはり好ましくないよね・・・。
Q 他にもある?
A 自家用自動車等を一定台数以上使用している事業所は安全運転管理者等を選任しなければならないことになっているんだけど、今回の改正で選任すべき事業所として総排気量が250ccを超える自動二輪車を使用して運送事業を行う貨物軽自動車運送事業者、いわゆるバイク便がその対象に加わえられたんだよ。