Q 交通違反などをすると点数が引かれるけど。どんな制度なの?
A 「点数制度」のことですね。点数が引かれるのではなく、運転者の行った交通事故や交通違反に対して一定の点数を付け、これを累積してその合計点数が所定の基準に達した場合に、運転免許の取消しや停止の処分を行うという制度です。
 この制度は、危険性の高い運転者を道路交通の場から排除し、また運転者に自戒させて、道路交通の安全を確保することを目的としているです。

Q どのような場合に点数が付くですか?
A まず点数の種類として、
  @ 交通違反をした場合の基礎点数
  A 交通事故を起こした場合に付加される交通事故の付加点数
  B ひき逃げやあて逃げをした場合に付加される措置義務違反の付加点数
 の3種類があります。そして原則として、運転者が交通違反、交通事故を起こした都度、あらかじめ定められた点数を累積していくことになります。
 
交通違反の主な基礎点数
酒酔い運転 25
無免許運転 19
速度違反(50km以上) 12
信号無視(赤色等)
通行禁止
放置駐車違反(駐停禁止場所)
整備不良(制動等)
指定場所一時停止違反


別表   交通事故付加点数の例    
事 故 の 種 別  点  数
 死 亡 事 故 13〜20 
 重傷事故  3月以上 9〜13 
 30日以上 6〜9 
 軽傷事故  15〜30日未満 4〜6 
 15日未満 2〜3 


別表   措置義務違反の付加点数
   種    別  点 数
 ひき逃げ(死傷事故) 23 
 当て逃げ(物損事故) 5 

Q 運転者の点数は「持ち点が15点」だと聞きましたが本当ですか?
 一般的に「持ち点」と言われていますが、これは、行政処分の前歴のない運転者が取消しになる累積点数が15点であることからそのように言われているようです。

Q 1回目の取消しは累積点数が15点からと聞きますが、行政処分の前歴がある場合にはどうなりますか?
 前歴がない場合で一定の点数(6点〜14点)に達したときは、運転免許の停止処分を受けることになりますが、その処分が終わると、それまでの点数は処分の前歴回数に置き替えられ、それ以後の違反は新たに累積されていくことになります。
 そしてこの基準点数は過去3年間の前歴の回数が多いほど、低い合計点で処分が行われ、また免許の欠格期間(免許取消しになってから、改めて免許を取得することができるようになるまでの期間)も長くなるんです。
 なお、この場合の前歴とは、免許の停止・運転の禁止処分など(免許の取消しは含みません。)のことを言います。
 別表のように行政処分の前歴が1回だと4点から停止処分の対象となり、10点で取消しに、前歴2回だと2点で免許の停止、5点で取消しというようになっていきます。
*別表

Q 点数の計算の際に、1年間無事故・無違反なら累積されないと聞いのですが?
 点数が累積されない場合としては、
   @ 1年間交通違反等をしなかったとき
   A 免許の取消し・停止処分を受けたとき
にはそれ以前の点数は加算されません。
 また、2年間無違反の者が、1点または、2点の軽微な交通違反をした場合で、その後3ヶ月間違反等がなければ、その点数は加算されません。

Q 免許の停止処分の開始時期はいつになるんですか?
 処分の開始日は30日の停止処分であれば、講習を受けた日から、また90日以上の人は意見の聴取が行なわれた日から処分が開始されます。講習や意見の聴取に出頭できない人の場合には、出頭して運転免許証を預けた日から処分が始まることになります。

Q 「運転免許停止処分出頭通知書」が届いたが、出頭指定日に行けないときには、どうしたら良いでしょうか?
 出頭指定日に出頭できない場合は、住所地を管轄する警察署の交通課に連絡して指示を受けて下さい。

Q 指定日に行政処分を受けないと不利益になるのですか?
 行政処分を受けるのが遅れると、1年間の無事故・無違反の期間が先送りとなるだけでなく、違反や交通事故をした場合は、処分前の点数と累積されることがあるため一層重たい処分となる場合があります。できる限り出頭指定日に出頭し処分を受けることが好ましいです。

Q 「意見の聴取」というハガキが来ましたがどうしたら良いでしょうか?
 公安委員会は、免許の取消しや90日以上の免許の停止処分をしようとするときには、公開による意見の聴取を行わなければならないことになっています。
 また、処分を受ける者は、自ら又は代理人を立てて意見を述べ、有利な証拠を提出することができることになっていますので、処分に不服や意見がある場合は、この意見の聴取手続きの中で弁明することになります。

Q 「意見の聴取通知書」が届きましたが、出張中で指定された日に行くことができません。どうしたら良いでしょうか?
 意見の聴取や聴聞の期日は、病気、その他やむを得ない理由がある場合を除き、変更することは出来ません。本人が出られない場合には、処分対象者の代理人を出席させて代わりに意見等を述べることもできます。また、特に意見がない場合には欠席してもよく、開催日に欠席した場合には意見等がないものとして欠席審理をして、一定の基準に基づいて処分を決定し、後日通知されることになります。

Q 運転免許の取消しや停止などの行政処分に不服がある場合はどうしたらよいでしょうか?
 「意見の聴取」の機会に弁明するとか、「異議申し立て」や「行政訴訟の提起」等の方法があります。

Q 「異議申し立て」はどうやって行うのですか?
A 公安委員会が行った免許の取消しや停止処分に不服がある場合は、処分を知った日の翌日から60日以内に、公安委員会に対して異議申立てをすることができます。異議申立ては書面によって行うことになっています。
 なお、異議申立ての有無にかかわらず、行政処分取消しを求める行政訴訟を裁判所に提起することもできます。この処分取消訴訟は処分を知った日から3ヶ月以内でかつ処分の日から1年以内に提起しなければならないことになっています。

Q 「国家損害賠償請求」もできると聞きましたがどうでしょうか?
 行政処分に対して異議申し立てを行った結果、その行政処分が取り消された場合において、処分を受けた者が不利益を受けた場合には、国家損害賠償法に基づき損害賠償請求を行うことができます。
 
Q 「違反者講習」ってなんですか?
 たとえば、行政処分の前歴のない者が累積点数が6点になった場合、免許停止30日の行政処分に該当しますが、一定の条件に適合していれば、行政処分を課せられずに済む特別な講習があります。これを「違反者講習」と呼び、受講の対象になった人のことを「違反者講習該当者」と呼びます。

Q 「違反者講習該当者」とはどのような人のことを言うのですか?
 この講習の対象となる「違反者講習該当者」とは、違反点数が3点以下の軽微な違反行為を繰り返し、累積点数が政令で定める基準(累積点数6点)に該当した者のことを言います。ただし、
   ・ 過去3年以内に免許停止(保留)の前歴がある者
   ・ 過去3年以内に違反者講習受講歴がある者
   ・ 過去に「道路外致死傷」や「重大違反そそのかし等」をした者
は違反者講習該当者とはならず行政処分が課せられます。
 なお、上記の条件に該当しなかった場合 (一度の違反で6点だったり累積点数が7点以上の場合)は違反者講習の対象ではなく通常の行政処分の対象となります。

Q 違反者講習を受けた場合のメリットはなんですか?
 前歴なしで累積点数6点は、免許の停止・保留の基準に該当するが、「違反者講習」を受講すれば免許停止等の処分は行われません。
  この他にも違反者講習を受講した場合の特例として、
  @ 違反者講習受講の基準に該当することになった累積点数6点は、
   その後違反行為をした時に加算されない。
  A 免許停止等の処分が行われないため、前歴にならない。
という利点もあります。

Q 違反者講習はいつ受ければ良いのですか?
 違反者講習受講の基準に該当した人には、公安委員会から『違反者講習通知書』が送付されるので、通知を受けた人は、通知を受けた日の翌日から起算した期間が通算して1ヶ月となるまでの間に違反者講習を受講しなければなりません。ただし、海外旅行・災害・病気等、受講できないやむを得ない理由がある場合には、この1ヶ月の期間は延長されることになります。
 定められた期間内に違反者講習を受講しなかった場合には、免許停止等の処分を受けることになります。

Q 違反者講習該当者が講習を受講しなかった場合にはどうなるのでしょうか?
 違反者講習を受講しなかった場合には、免許の停止等の処分を受けることになります。そしてこの違反者講習を受講せず免許の停止等の処分を受けた者は「停止処分者講習」を受講することができないのです。

Q 「停止処分者講習」とはどのようなものですか?
 交通違反等により累積点数が免許停止等の基準に該当した場合、通常なら処分期間として告知された日数分運転できないことになりますが、特定の講習会を受講すると免許停止等の処分期間を短縮してもらうことができます。この講習を「停止処分者講習(一般的には「免停講習」とも称されている。)」と呼んでいます。

Q この停止処分者講習には試験があるのですか?
 まず、この停止処分者講習は、短期・中期・長期の三種類に分かれています。
  そして講習の中で簡単な考査が行われ、その点数によって、「優・良・可・不可」の4段階に別けられ短縮期間が決まります。例えば30日免許停止に該当する人が短期講習を受け、考査で「優」を取れば29日短縮され免許停止期間は1日で、運転できないのは講習を受けた日のみとなります。

Q 停止処分者講習は1日で終わるのですか?
 40日未満の免許停止処分の場合、出頭した日に受講申し込みを行い講習も行われます。40日以上90日未満の免許停止処分の場合は一度運転免許証を預けるために出頭したときに停止処分者講習の申し込みを行います。また90日以上の場合は「意見の聴取」に出頭した日の意見の聴取終了後に停止処分者講習の申し込みを行うことになります。停止処分者講習の時間は別表のとおりです。

別表    停止処分者講習の受講時間
免許の保留等の期間 時 間
 40日未満(短期) 6時間
 40日以上90日未満(中期) 10時間
 90日以上(長期) 12時間

Q 講習を受講した結果どれくらい短縮されるのですか?
A 考査の結果によるが、成績が「優」の場合、
  ・ 40日未満の停止の人は講習を受けた後の残り日数の範囲内の期間
  ・ 40日以上の停止の人は停止の期間の1/2の範囲以内の期間
* 例えば、免許停止60日の人はその1/2の範囲以内である30日以内の期間が短縮されます。

Q 罰金は納めたが、行政処分の通知がまだ来ないのですが、どうなっていますか?
 罰金は刑事処分であり、行政処分とは独立して処理されるものなのです。罰金を収めたことと行政処分の通知とは連動していません。
 特に、住所地と異なった都道府県で違反をした場合などは、運転免許証の住所地を管轄する公安委員会に書類が回って来てからになるので若干時間を要することがあるようです。

Q 交通違反したということで切符を切られたのですが、違反を認めていないし反則金も納めていません。でも点数が減点されているのですが、なぜですか?
 行政処分政と刑事罰は別のものです。行政処分は将来の危険に対する行政上の処分であり、警察官が違反の事実を客観的に確認した場合、当該違反行為を運転者が認めていなくても、また、罰金や反則金の納付の有無にかかわらず、点数が付加されるものなのです。

Q では、どうしたら良いのでしょうか?不服申し立てをすることができますか?
A 違反者の運転免許のデータ台帳に違反点数が入力されたことは、直ちに運転免許に係る行政処分とは言えず、単に事務的に記録されたにしか過ぎないので、不服申し立て等の対象にはならないとされています。
 行政庁が行政処分(例えば、免許の停止や取消等)を行ったことで不利益が生じた場合に、行政処分の不服申し立ての対象となります。


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